苦労をわかってくれる人はいますか?

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聖書の言葉

主よ、あなたは私を調べ 私を知っておられる。あなたは座るのも立つのも知り 遠くから私の思いを理解される。

旧約聖書 詩編 139篇1節-2節

大西良嗣によるメッセージ

「あの人は自分の苦労をわかってくれている。」そんな人がいると、私はけっこう苦労があっても、がんばることができます。いやな思いをしなければならないことがあっても、その辛さをわかっていてくれる人がいると、何とか耐えられるわけです。

キリスト教を信じるとは、どういうことなのか、人それぞれにイメージを持っておられることと思います。私が持っているイメージの一つは、「自分の苦労を分かってくださる方がいる」人生です。キリスト教を信じても、苦労がなくなるわけではありません。体は病気にもなりますし、メンタルがやられてしまうこともあります。生活するために、働く必要もあります。そういう点では、キリスト教を信じても、何も変わりません。

先ほど読んだ聖書の言葉に、こうありました。「主よ、あなたは私を調べ私を知っておられる。あなたは座るのも立つのも知り遠くから私の思いを理解される。」私の神である主は、わたしのことを本当によく知ってくださっています。私が立ったり座ったりする行動を知っているだけでなく、私の心の思いまでも理解してくださっています。

この言葉は、何の苦労も感じていない時には、あまり心に響きません。「だから何だ?」とか、「人に知られたくない思いもある」というぐらいに考えてしまいます。けれども、本当に苦労をしている時、苦労を分かってくれる人が近くにいない時には、まったく違う響きを感じます。私の神であられるお方が、本当に私の苦労をよく知っていてくださり、言葉にできない思いをも理解してくださるということは、不思議なほど励ましになります。自分ではどうすることもできない苦労を、「わかっている」と言って、受け止めてくださる、そういうお方がいるだけで心が楽になるのです。

最近は、AIにいろいろな相談をする人が多いようです。AIに苦労していることを打ち明けて、寄り添ってもらうことも、何となくできるようになっています。ただし、AIは本当に私たちの苦労を理解しているわけではありません。理解しているような言葉を発するだけで、そこに人格があるわけではありません。理解している人格がないのに、言葉だけが理解しているように語るのです。そのようにAIの実態を考え出すと、かえって虚しく感じてしまいます。

キリスト教を信じるということは、人格的な神の存在を信じるということです。神は言葉だけで、分かっているふうに語る存在なのではありません。私たちのことを本当に理解してくださる人格をもった神がおられるのです。

先ほど読んだ聖書の言葉を、さらに先まで読み進めていくと、こんな言葉もあります。「胎児の私をあなたの目は見ていた。すべてはあなたの書に記されている。形作られた日々のまだその一日も始まらないうちから。」

まだ生まれる前、お母さんのお腹の中にいるときから、私の神である主は私を見ていたと言われています。まだ私の人生が始まる前から、私のことを見ていて、知っていてくださったのです。

それだけではありません。私の人生がスタートする前から「すべてはあなたの書に記されている」とあります。私の人生のすべてを、まだ始まる前から知っておられるのです。私の人生が順調にいく時期のことも、苦労に苦労を重ねる時期のことも、悲しい思いに沈んでしまう時期があることも、傷ついて人生が嫌になってしまう時があることも、すべて知っていて、その日々を一緒に歩んでくださるのです。そして、重要なことは、苦労があった日々が、最終的にどこに向かうのかをご存じであるということです。

キリスト教を信じるということは、この世界を造られた神を信じるということでもあります。神は、世界を造っただけでなく、この世界のために計画を持っておられます。その計画は、私たちの想像を超えるすばらしいゴールへと向かうものです。

私たちの人生を見ても、この世界に起こっていることを思い浮かべてみても、そんなにすばらしいゴールに向かっているとは感じられないかもしれません。実感としては、そうだろうと思います。

けれども、すべてを知っておられるお方に、想定外のことはありません。私たちが苦労していることは、確かに苦労ではあるのですが、ここがゴールではないのです。

私の神である主は、私の苦労をよく分かってくださって、私を一歩前に進ませます。主が私の思いを理解してくださるので、長く立ち止まっていた私は、足を前に出します。その一歩は、無意味に思えるほど小さなものです。けれども、神が計画してくださったすばらしいゴールに、着実に向かっているものだと分かるので、一歩、前に踏み出すのです。

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