大丈夫じゃないけど平安

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聖書の言葉

わたしたちは、わたしたちに対する神の愛を知り、また信じています。神は愛です。

新約聖書 ヨハネの手紙一 4章16節

國安光によるメッセージ

おはようございます。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。淀川キリスト教病院チャプレンの國安 光です。私が勤めている淀川キリスト教病院の働きの原点には、医療を通じて、日本にいる一人でも多くの方に神様の愛を伝えたい、という祈りがあります。創立者フランク・A・ブラウン宣教師は、神様の愛を伝えるために、患者中心の医療を、大阪の淡路ではじめられました。

病院の朝の礼拝の中で、ブラウン宣教師が語られたことに、こんな紹介がありました。

「先生の患者中心の全人医療の原点は、クリスマスの主人公であるイエス・キリストでした。患者さんが先生に『ブラウン先生ありがとうございます。先生のおかげでこんなによくなりました』というと、先生はきまって、『あなたをよくしてくださったのは神様ですよ。だから神様に感謝しましょう』と言われました。」神様に感謝しましょう、この言葉の中に、ブラウン先生の神様への愛を伝えたいという思いがよく表されています。

では神様の愛について、聖書はどのようなことを私たちに伝えているのでしょうか。

聖書によれば、私達はみな神の前に罪人であるといいます。罪とは、神に背き、自己中心で、人を愛することのできないあり様をあらわします。心に手を当てて深く見つめるとき、私たちは自分の罪に気づかされることがあるのではないでしょうか。

その罪を神様は、どうご覧になるか。神様は正しいお方であり、罪をお嫌いになる。罪人に対して、やがて裁かれるというのです。罪人は、その裁きから自分の努力では、決して逃れられない、自分を救うすべを持たないのです。

神様はしかし、そのような罪人を放ってはおかれなかった。驚くべき手段をとって、救いの道を開かれた、神の独り子であるイエス・キリストを地上に遣わし、十字架にかけ、この方に罪人が受けるべき裁きを、身代わりとして負わせた、というのです。

神の子イエス・キリストが、こうして神の呪いを、裁きを引き受けてくださった。神の子のいのちをささげてまで、神様は罪人を救おうとなさった。それほどに大きな愛を、神様は私たちに注いでくださったのです。

神様の愛が、キリストの十字架に表されている、このキリストを唯一の罪から救う方として信じる時に、私たちは神様とともに生きるものとされる。永遠に、変わることのない神様の愛に支えられながら、人生を生きることができる、そう聖書は教えています。

私はチャプレンとして、患者さんと関わる中で、本当にこの神様の愛が、人を生かすことを目の当たりにしてきました。ある患者さんがこんなことを問われました。「夜が怖い。眠ったら朝を迎えられないんじゃないか。そしたら自分は無になってしまうんじゃないか。どうしたらこの恐怖から逃れることができますか」

私は答えました。「神様はあなたのためにイエス・キリストを与えてくださいました。十字架によってこの方の命をささげるほどに、あなたを愛しておられ、あなたと一緒に生きることを願っておられます。」

すると「私は、もう究極的には神様にしか救いはないと思います。私は神の子になりたい。それがもし叶うなら、どんなにか気持ちが楽になります」こうお答えになったんです。それから一緒に祈りをしました。

それから何度か訪問を繰り返していく中で、だんだんと恐れから、不安から解放されていきました。もちろん、全く解放されたわけではありませんけれども、その方はそれからおそれに取り憑かれる時は神様に祈るようになられました。そしてだんだんと表情が変わっていかれたんです。

この方だけではありません。病を抱える中で、どうしてこんな辛いことが起きるのか。何か私が悪いことをしたからこうなったのではないか、そういう声を聴きます。苦しみの原因がわからない辛さの中で、そうやって苦しみの理由を納得をしようとするのです。その気持ちは私も経験があり、わからなくもありません。

お話に耳を傾けながら、私はこうお話することがあります。「どれほどお辛いか、私も経験があるので、ほんのすこしわかるような気がします。ただ私が信じるキリスト教の神は、愛の神です。独り子の命をささげてまで、私たちを救おうとされる方です。あなたを神様はそのままで愛しておられます。」

すると、ハッとされて、そうなんですね、なんかホッとします、おっしゃるんです。そしてそこから、だんだんと自分自身の受けとめ方が変わっていく、人生の生きがいを見出しながら、生きる意味を捉えなおし、心や身体が生き生きとしていかれる、そういうことが実際にあるんです。

いのちを神様が愛しておられ、そのいのちと向き合う働きの中に神様も働いてくださる、そのことをいつも患者さんを通して教えられます。「わたしたちは、わたしたちに対する神の愛を知り、また信じています。神は愛です。」あなたの今日一日に、神様の愛が注がれています。

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