クリスマスツリーとキリスト教

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聖書の言葉

川は、都の大通りの中央を流れ、その両岸には命の木があって、年に十二回実を結び、毎月実をみのらせる。そして、その木の葉は諸国の民の病を治す。

新約聖書 ヨハネの黙示録 22章2節

山下正雄によるメッセージ

おはようございます。日本キリスト改革派教会メディア伝道局主事の山下正雄です。

クリスマスのこの季節、街中でもご家庭でもたくさんのクリスマスツリーを見かけます。綺麗に飾られたツリーを見ると、クリスマスシーズンの訪れを感じます。

実はこのクリスマスツリーには、単なる飾りとしての役割を超えた深い意味があります。その歴史をさかのぼると、ツリーに「命」や「希望」の象徴が込められていて、イエス・キリストの誕生に関連する重要なメッセージを伝えています。今朝は、クリスマスツリーと『黙示録』二二章二節にある「命の木」との関係について、さらに日本での興味深いエピソードをまじえながらお話しししたいと思います。

クリスマスツリーのルーツは、古代ローマの時代に行われた異教の祭りに起源を持っています。ローマの人々は、冬至のお祝いに農耕の神サトゥルヌスを讃えるため、常緑樹を家に飾りました。常緑樹は冬でも枯れないため、生命力と不滅の象徴としての意味がありました。やがてこの風習がキリスト教の中に取り入れられ、クリスマスのお祝いとして定着していきました。しかし、ここで注目すべきなのは、クリスマスツリーが単なる異教の名残として受け継がれたのではないということです。その後、クリスマスツリーにはキリスト教的な意義が加えられ、信仰の象徴としての役割を持つようになったということです。

一六世紀になると、特にドイツでは、クリスマスツリーに「リンゴ」と「ホスティア」と呼ばれるパンを飾る風習が始まりました。このリンゴは、旧約聖書に出てくる「善悪の知識の木の実」を象徴し、ホスティアはキリスト教の大切な儀式の一つで頂くキリストの「命のパン」を表しています。ちなみにホスティアはクリスマスクッキーにその名残をとどめています。

当時のヨーロッパでは、クリスマス前夜に「アダムとエバの堕落」を描く劇が行われ、人々に自らの罪とそれに対する救いの希望を伝えていました。クリスマスツリーの飾りとしてのリンゴとホスティアは、この劇と密接な関係がありました。このようにして、クリスマスツリーはキリスト教の救いのメッセージを示すものとして根づくようになりました。

さて、日本でもこの劇が影響を与えた記録が残っています。一五六〇年、豊後府内、つまり現在の大分市で、日本で最初とされる西洋演劇がキリスト教会で上演されました。内容は「アダムの堕落と贖いの希望」を描いたもので、善悪の知識の木の実である「リンゴ」を象徴的に用いながら、人間が神に背いた物語を演じました。この劇は当時の日本人に深い感動を与えたと記録されています。観客たちは、アダムとエバが楽園から追放される場面で涙を流し、彼らが堕落し、神から遠ざかったことに胸を痛めたと伝えられています。

この劇の背後にある教えは、私たち人間が神に反逆し、罪に陥ったことを示すと同時に、イエス・キリストによって赦しと救いの道が開かれる希望のメッセージでした。こうした背景を知ると、クリスマスツリーに飾られたリンゴは単なる飾りではなく、私たちの罪と、その赦しをもたらすために来られたキリストの恵みを思い起こさせる重要な象徴であることがわかります。

ここで、『黙示録』二二章二節に記される「命の木」に目を向けてみましょう。聖書には、天にある新しいエルサレムの川のほとりに「命の木」が植えられており、その木は毎月実を結び、葉は「諸国の民をいやす」と記されています。この「命の木」は、罪によって神との関係を断たれた人間が、再び永遠の命を回復する希望を象徴しています。神は私たちに、絶望の中で終わるのではなく、いつでも帰る場所としての救いを約束されておられます。

クリスマスツリーに話を戻すと、冬でも枯れずに緑を保つツリーは、神が与える「永遠の命」を象徴しています。さらに、ツリーに飾られる星はベツレヘムの星を思い起こさせ、イエスの誕生を知らせた星として、私たちが真理と光を見出す道を示しています。こうして、ツリーの形、色、そして飾りに至るまで、クリスマスツリーは神の救いの物語を語りかけています。

このように、クリスマスツリーは単なる伝統や美しい装飾のためのものではありません。ツリーの起源やその象徴を知ると、そこに込められたメッセージがより深く理解できるはずです。それは、神が決して私たちを見放すことなく、救い主イエス・キリストを通して永遠の命と平和を与えるために働き続けてくださるという愛のメッセージです。ツリーが私たちに伝えるのは、やがて訪れる神の国で「命の木」にたどり着くという希望、そして、クリスマスを通して与えられた救いの約束です。

このクリスマス、もしクリスマスツリーを見かけたなら、ぜひその起源と背景に思いを馳せてください。そして「命の木」とのつながりを覚えながら、クリスマスが示す永遠の命と希望のメッセージに心を向けてみてください。それが、あなたの心に平安と喜びをもたらし、神との関係を築くための第一歩となることを願っています。

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